【仕事でどう使う?】人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている (ふろむだ著)

どうも、職場プレス編集長の石川です。

実用書は、使わなければ意味がありません。

本を読んだら、必ずその内容を実践してみましょう。

今回は『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(ふろむだ著/ダイヤモンド社)を職場で活かすための書評です。

本書は、「仕事を真面目にやっているのに評価されない」と感じている人にとって、バイブルになり得るものです。

本書の主題は「『錯覚資産』を使って勝ち組になれ!」です。

著者いわく「本書は成功法であると同時に実力主義の欺瞞を暴く本

「世の中は、実力が正当に評価されるフェアな気持ちのいい世界ではなく、錯覚資産という卑怯な武器で殴り合う、油断のならないジャングルである」

今回のレビューでは、本書の要点をまとめて、職場で実践する方法について解説していきます。

要点1:錯覚資産=「自分に都合のいい思考の錯覚」

本書では「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚は資産として機能する」それを「錯覚資産」としています。

「いい思考の錯覚」とは「一つのプラスなイメージを引き起こすもの」であれば「全体的に優秀」という勘違いを起こしてしまう作用のことです。

少しの実績や肩書きでも、実力以上に評価される場合は、この作用が起きています。

そして、この錯覚資産こそが、成功(または失敗)要因の大きな割合を占めると言います。

【一般的なイメージ】

成功要因 = 実力 + 運 →誤り

【実際】

成功要因 = 錯覚資産 +実力+ 運 →現実

「実力中心」の世界観は間違っており、「錯覚資産・運・実力」の世界観で生きる人間の方が圧倒的に強いと言います。

会社・職場の中を見渡すと分かるように能力がありそうもないのに出世している人がいる一方で、抜群の実力があるのに出世とは無縁になっている人がいます。

錯覚資産を使える人は、どんな些細なことでも実績をしっかりとアピールして、次のチャンスを掴む努力をしています。

そして、次のチャンスを掴んだら、そこで成果を出して、さらに次のチャンスを掴むという上昇のスパイラルを駆け上がっていきます。

錯覚資産を使えない人「しっかりやっていれば誰かがきっと見てくれている」と思って黙々と仕事をしています。

実力があっても発揮する機会がなければ、現状の待遇でくすぶることになります。

要点2:認知バイアスによって錯覚資産は作られる

「認知バイアス=認知の偏り、ゆがみ」と本書では定義しています。

認知とは「人間が物事を認識して、それが何かを解釈する過程」のことです。

本書では、10種類の認知バイアスが取り上げられていますが、この記事では、その中の3つを解説していきます。

他のものが気になる人は本書をしっかり読んでください。

1.ハロー効果

ハロー効果とは「なにか一点が優れていると、後光がさして、なにもかも優れて見えちゃうような錯覚」と本書では定義しています。

さらに、ハロー効果を知っていても、ハロー効果に引きずられて誤った認識や判断をしてしまう、とのこと。

そして、ほとんどの組織は「ハロー効果でずぶずぶに汚染された直感」で意思決定がされており、自分が正しいことを言ったとしても周囲と意見が対立することになる、とのことです。

どの組織でも、役員や管理職の発言に対して、すぐに同意してしまうのは保身と同時に「この人は自分よりも役職が上で経験もあるし、間違ってないだろう」というハロー効果が働いているからです。

会社・職場においては、ハロー効果に影響された決定に従う必要もありますが、自分の人生の選択ではハロー効果に惑わされないようにしましょう。と、著者のふろむださんも言っています。

2.認知的不協和

「現実世界の真実と自分の状態に矛盾があること=認知的不協和」と本書では定義しています。

その矛盾の整合をとるために価値があるものの評価を書き換えて、無価値なものと認識してしまうと錯覚資産が育たなくなり、人生がハードモードの糞ゲーになると言います。

この認知的不協和は、給料が低かったり、周りと比べて出世していないと起こりがちです。

「やり甲斐があるから、給料が低くてもいい」

「仕事は肩書きでやるものでは無い」

というフレーズが口から出たら赤信号です。

これは、認知的不協和を価値の書き換えで整合しようとして発せられる言葉です。

認知的不協和を現実を変えるのではなく、認知を変えることで調整しようとすると、人生の停滞が始まります。

仕事にやり甲斐は重要ですが、労働には報酬が伴うものであり、その報酬を上げるための努力は必須です。

手に入らないものを攻撃して、心を慰めているようでは、いつまでたっても負け犬の思考のままです。

それでは、心の底では本当は欲しいと思っているものを手に入れることはできません。

そうではなく、肩書きも報酬も貪欲に欲しがり、それを得るための積極的に行動しましょう。

「認知を変える」逃げの姿勢ではなく、「行動を変える」攻めの姿勢で、認知的不協和を無くしましょう。

3.感情ヒューリスティック

感情ヒューリスティックとは「自分が個人的に嫌いなものは、常に邪悪だし、間違っているし、ろくなメリットがなく、リスクが高い。自分が個人的に好きなものは、常に善良だし、正しいし、メリットは大きく、リスクが低い」という判断方法である、と本書では定義しています。

ちょっと長くて分かりにくいですかね?端的に言うと、

人は「好きなものは、良い」「嫌いなものは、悪い」と捉えてしまう、ということです。

管理職とべったりの大した能力もない同僚が良い待遇になっているのは、この感情ヒューリスティックによるものです。

そのため、「職場内の偉い人に好かれる努力」は組織内で出世するために有効であり不可欠な戦略です。

具体的には、上司の指示に対しては全て受け入れて素早く実行する、飲み会に誘われたら必ず参加するなどの行動が好感に繋がっていきます。

「仕事さえきっちりこなして成果を上げれば正当に評価してもらえる」という幻想は早めに捨てましょう。

要点3:錯覚資産は「ハロー効果×思い浮かびやすさ×思い浮かぶ人の数」で増えていく

錯覚資産を増やすためには「ハロー効果の強さ」「思い浮かびやすさ」「思い浮かぶ人の数」を三次元的に伸ばしていく必要があるそうです。

・ハロー効果をもたらす実績を作り、

・それを多くの人が「思い浮かびやすく」なるようにして、

・それが錯覚資産となる。

ということです。

その反対に、

・コツコツ仕事を頑張るだけ

・人の仕事に便乗してアピールをするだけ

・一部の気の合う同僚とだけ付き合っているだけ

では錯覚資産を作ることはできないのです。

そのためには「職場で錯覚資産を作るための行動」が不可欠です。

次の段落では、そのための具体的な実践方法をお伝えしていきます。

職場で本書をどうやって使うか?

本書の内容を職場で活かすには以下の2つのことを実践していきましょう。

1.とにかくチャレンジの数を増やす

「錯覚資産」という響きは「無いものを有ると嘘をつくこと」と勘違いしてしまいそうが、それは誤りです。

あくまでも「実績」という種があり、それが育って資産になります。

そのため、まずは種作りのために行動していきましょう。

意識すべきは「与えられたり、自分の手が届く範囲の仕事は全力でやる」ということ。

・資料作成

・書類のコピー

・飛び込み営業

・イベントの係員

・新規プロジェクトへの参加

どんな仕事でも腐らず、全力でやるのです。

好き嫌いやイメージだけでやるやらないを判断するのはナンセンスです。

全力でやれば、自分の得手不得手、適性がつかめてきます。

高いパフォーマンスが発揮できる仕事を見つけたら、一気に自分の全力を注ぎ込みましょう。

ただし、全力でやるだけでは片手落ちになるので、チャレンジで実績を作ったら次の行動も忘れずに。

2.実績をきっちりとアピールする

具体的に難しいことをする必要はありません。

職場で意識すべきことは「自分が関わったものを関係者にしっかりと認識して、記憶してもらう」ということだけです。

そのためには、

・上司や先輩にホウレンソウをこまめにする

・周囲との会話で自分の業務について話をする

・自分が何が得意か不得意かを表明する

・自分の業務を会議での報告案件とする

・プレスリリース(報道投げ込み)をする

などの行動を取りましょう。

自分がなんのスペシャリストなのか明確にして「××と言えば、あいつ」という状態を作り出すのです。

出来ないことを「出来る」と偽る必要はありません。

自分が出来ることを「周囲に知ってもらう」ことであなたに箔(錯覚資産)がついていきます。

まとめ

本書を読んだら、「錯覚資産を作らなきゃ!」と思った方がいると思います。

そして、そのための実践方法はいたってシンプルです。

・仕事を全力でやる

・それをきっちりアピールする

これを繰り返し実践していけば、錯覚資産が作られ、段々と仕事のスケールが大きくなり、仲間も機会にも恵まれて、出世して待遇が良くなっていきます。

「考えているだけじゃ、現実はピクリとも動かないので、とりあえずやってみましょう」ということで、この本を読んだら、積極的に錯覚資産を作ることをお勧めします。

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