『ガラスの地球を救え』を読めば分かる!手塚治虫が伝えたかったこと【書評】

どうも、こんにちは、職場プレス編集長/モチベーターの石川です。

伝説の漫画家・手塚治虫。

たぶん、みんな気づいて無いと思うだけど、

手塚は、

天才なんです。

その事実は、もうね、読めば分かるから。

絶対にみんな読んだ方がいい。

どれを読んでも本当に面白いから。

 

と、まあ、すみません。

冒頭から誰でも知っていることを言いました。

今回は、今だから読んでほしい、

手塚治虫のエッセイ『ガラスの地球を救え-21世紀の君たちへ-』について解説していきます。

この本は、刊行前に手塚が無くなったため、講演やテレビなどの発言を含めて一冊の本にまとめているものです。

本書の主題は、

「生命の素晴らしさを伝え、希望に満ちた子どもを育てる」

手塚自身が、戦争を経験し、その時代の教育を振り返ると恐ろしさを感じています。

そして、教育が子どもに与える影響の大きさを実感していたからこそ、漫画を通して生命の大切さを説くことに注力していたのです。

その中でも、本書に書かれていることで、特に社会人が読むべきポイントについて述べていきます。

1.生命は素晴らしい

本書の最重要なテーマを繰り返しますが、

「生命は大切である」

「そんなことは分かっている」と思うでしょうが、その意味を考えたり、その上でどのように行動するか、という視点が欠けていませんか?

私は欠けていました。

幼いころから生命の大切さ、生物をいたわる心を持つための教育が徹底すれば、子どもをめぐる現在のような悲惨な事態は解消していくだろうと信じます。

(中略)そのためには”豊かな自然”が残されていなければならない。(P56-57)

この本は1989年に刊行されましたが、その頃から「地球環境の悪化」が懸念されており、その現状はさらに悪い方向に進んでいます。

・地球の環境が悪くなると自然が壊される。

・そして、自然に触れない子どもに他人の痛みや生命の大切さを説くのは難しい。

・そのような子どもが育って大人になると、周りへの配慮が無くなり、悪化が加速する。

こんな悪循環を避けるために、手塚は生命の物語を紡いでいったようです。

『火の鳥』はその最たる例。

「限りある生命をどう使うか」という視点を持つと手塚も喜んでくれるかもしれません。

2.情報過多の時代に必要な能力とは?

昭和から平成に差しかかろうという時代に、すでに手塚は情報との付き合い方についてヒントをくれています。

というのも、この中で、

今後はますます、若者こそ情報を取捨選択し、分析し、状況に生かしていく力が大切になってくると思います。(P89)

日本人ほど情報をすんなり受け入れて気安く自分のものに同化してしまう民族も少ない(P94)

情報過多の時代に至って、まず、僕たちが情報の消化不良を起こすのではないかという心配があります。

あまりにさまざまな情報のため、頭が混乱してしまってみんな未消化で、中途半端に吸収してしまうために、カオスの状態になってしまう、これは怖いことです。(P96)

どれがとどれが自分に必要かをよく判断するテクニックを身につけなければなりません。(P97)

など、まさに現在の「誰でも情報を発信できる時代」における注意点を示してくれています。

ごめんなさい、手塚先生、あなたの言う通りです。

(↑この考え方も手塚が嫌いなことかも、という恐怖)

では、具体的にどのようにそのテクニックを磨くのか、というと、

(1)「自分の考え」以外の意見にもちゃんと触れる

「不寛容な社会」と言われるようになりましたが、自分と意見が違うものに対して攻撃的な人が多過ぎじゃありませんか。

いや、ひょっとするとごく少数なんだけど、それが目立つというか。

どうやら不寛容な人は、

「自分の考え=善」「自分と違う考え=悪」と思い込んでいる節があります。

自分の考えがしっかりしていることは、もちろん大事ですが、それを絶対視すると不寛容になり、攻撃的になってしまいます。

じゃあ、どうすればいいのか?

とりあえず、好き嫌いは横に置いといて、

自分と違う意見に耳を傾けてみましょう。

ほら、金子みすゞも言ってましたよね。

みんなちがって、みんないい。

「好き嫌い」と「正しい間違っている」を混同している人をたまに見かけますが「その考え方は嫌いだけど、言ってることは分かるし、多分それが正解」という感覚を大事にしたい。

(2)不必要な情報をインプットしない

話を戻しましょう。

情報を判断するテクニックの磨き方でしたね。

もう一つ大事なのが、

不必要な情報を避ける、ということです。

例えば、

・芸能人のスキャンダルにいちいち反応する

・コンクリートから大根が生えてきた

・近所の家のおばさんが「引っ越し引っ越し」騒がしい

・「えっ!?無理なダイエットなんて馬鹿らしい?芸能人が実践しているたった1つの〇〇」という広告記事をクリックする

だとか。

情報をインプットする際には「それが、どう役に立つのか?」という視点が必要です。

どうでもよい情報に、いちいち自分の時間や労力を使っている暇はありません。

芸能人のスキャンダルに対して、一般人が怒っていても意味がないじゃないですか。本当に。

ちなみに、「必要な情報」は何か、という答えとして手塚は、

何が必要な情報か、ということですが、ぼくはとどのつまり、生命の尊厳を伝える情報が最も必要でかつ重要な情報だと思います。(P99)

と示しています。

やっぱり、生命は素晴らしい、そういうことのようです。

3.この本を読んでどう行動しようか?〜まとめ〜

本書を通して、私が感じたことは、

「人の役に立つために行動しよう」

手塚は、「子ども」と「生命」にフォーカスをしており、実際に作品を読んでみると、その軸が、すごいしっかりしていて本当に脱帽です。

手塚の活動は「子ども」を対象にしていて、さらに自分の適性があったから「漫画」という手法をとっているんじゃないかなー、と思いました。

「子どもの役に立つ!」という執念が感じられます。

一方で、企業や組織で働いている我々からすると、対象を「子ども」に限定をすると、自分ごととして考えることができないような気がします。

じゃあ、どうするか?

それは、

「自分がどんな人に、どんな影響を与えたいかを考えて、行動すること」が大事だと思います。

その対象は、家族・友人・同僚・仕事のお客さん、など色々とあるんですよ、きっと。

自分が行動した分だけ、世の中をちょっと良くしていける。

「一人の力はちっぽけだ」と思うでしょうが、案外そうでもないんですよ。

自分の影響範囲は、自分が思っているよりも広いので、出来るだけ広範囲に関わっていきましょう。

ちなみに、今回の記事での私なりの手塚論は、この本と何冊かの漫画を読んで「感じたこと」なので、手塚信者の方からすると「石川は手塚のことを全然分かってない!」ということがあったら、平にご容赦を!

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