「君たちはどう生きるか」を仕事で活かす〜へんな経験編〜

80年の時を経て、一斉を風靡した「君たちはどう生きるか」

他人の書評やレビューを読んで分かった気になったり、

好きだ嫌いだ気持ち悪いだと論じるのではなく、

本からの学びを仕事に活かすのがエリートビジネスマンへの道です。

参考:「君たちはどう生きるか」にロクな書評が見当たらない件

さて今回は、最初のエピソードである「へんな経験」を科学して、職場での活かし方について考えていきます。

コペル君が「人間て、叔父さん、ほんとに分子だね。僕、今日、ほんとうにそう思っちゃった。」とめい言を吐くあれです。

1.へんな経験にはどんな教訓が書かれている?

このエピソードの教訓は「ものの見方」について。

子どもの頃は自分勝手な考え方でいいけど、大人になると冷静なものの見方が重要なんだぜってこと。

職場で働く我々に当てはめると「ものごとを捉える時は客観的に」と言うことです。

 

「人は誰しも自分の人生の主人公」というのは天動説ということ。

と、同時に「自分は世界や社会を構成する一部分」でもある。これが地動説の考え方

「鋼の錬金術師」でいう「全は一、一は全」

「ROOKIES(ルーキーズ)」でいう「ワンフォアオール、オールフォーワン」

まあ、そんなこと言われなくても分かってるよ、って感じですよね。

が、言われれば分かるし、知っているんだけど、日常生活ではすっかり忘れているものです。

2.職場でのあなたの仕事はなんでしょうか?

さて、いきなり質問です。

職場でのあなたの仕事ってなんですか?

営業?企画?事務?現場?管理?

人それぞれだと思います。

それって、大変な仕事ですよね?にも関わらず、、、

 

上司はこっちの苦労も知らないで適当な指示を出すし、

部下や後輩はトンチンカンなことをやるし、

他部署の奴らはこっちの仕事を邪魔するし、

お客さんは無理難題のオンパレード。

すっごいストレスが溜まるし、愚痴を言いたくなりますよね。

世界の中心で「俺はムカつくために会社に行ってるんじゃない!」と叫びたい。

3.あなたは会社全体の仕事のどの部分を担ってますか?

まあ、叫んだところで状況は改善しないので、前向きに行動していきましょう。

ということで、「自分」から「相手」に視点を変えてみましょう

そうすると、今まで見えなかったことがはっきりくっきり見えるようになって、いちいち腹が立たなくなります。

さながら初めてコンタクトレンズを装着したような晴れやかさ。本当の私、デビュー。

さあ、順番にいきますよー。

3-1.上司〜こっちの苦労を知らずに適当な指示を出すあいつ〜

ムカつきますよね。(←この文章の入り方はどうなんだ?)

んで、そのムカつく上司の会社での立ち位置行動原理を知っていますか?

この2つを知るだけで、上司とのやりとりがスムーズになります。

まず、立ち位置は以下の3点を確認するだけでOKです。

①まだまだ出世しそうか?

→しなさそうなら、向上心がなく保守的になってる可能性あり、とにかくミスをしないことに命を燃やしているかも。

 出世しそうなら、評価される成果を欲しがっている。安全圏にいつつ、攻め時を狙っている、はず。

②その人の同期と比べて待遇が良いか悪いか?

→良いとエリート系かごますり系。悪いと仕事ができないか我が道を行く系。

③これまでの仕事が組織から評価されているか?

→されていれば自分に自信がある。されていなければ性格が歪んでる可能性あり。

次に行動原理を確認しましょう。

行動原理とは「仕事上の信念」です。

・仕事のモチベーションがどこにあるか?

・仕事で一番避けたがっていることはなにか?

・仕事で一番大切にしていることは何か?

この立ち位置と行動原理を掴むと「上司の指示の意図」が見えます。

理不尽で馬鹿げた指示も上司なりの判断基準があり、今後の展開が見えてきます。

 

例えば、他人からの叱責や批判を恐れている上司は、とにかく失敗を避けたがります。

そのため「えっ、そこまで調べて確認する必要あるの?時間のムダじゃん!」と思える指示を出してきます。

一方で「とにかく利益優先じゃーい」というタイプの上司は、少々の法令違反など知ったことか、という態度です。

部下が「いやいや、それはやっちゃ駄目でしょ!?」と思っても突き進んでいきます。

 

それを踏まえた上で、あなたが上司から期待されていることを明確にしましょう。

聞けるのであれば、ズバリ、「私にどんな成果を求めていますか?」と聞いてください。

すると自分が上司からどのように見られているのかが分かります。

それを踏まえて、期待に沿うか否かはあなた次第です、頑張って!

 

余談ですが、大多数の上司は「部下はぞんざいに扱ってもいいもの」と捉えています。

ムカつくでしょうが、大目に見てあげてください。

いちいち腹を立てているとこっちの精神が持たなくなるので。

コペル君の叔父さんみたいに親切で丁寧な人は、多くはないですからね。

3−2.部下と後輩〜いくら教えてもトンチンカンなあいつ〜

部下。

あなたから見るとトンチンカン。

やることなすこと、ムダだらけ。

なぜだ、なぜなんだ?

それは「あなたが優秀過ぎるから」

もう一度言いましょう、部下と比べるとあなたは優秀なのです。

あなたと比べて部下は圧倒的に業務の経験値が不足しています。

そのため、あなたにとっての「当たり前」が部下にとっては「知らないこと」なのです。

そういうものなんです。

だから「部下はトンチンカン」と心得て、「何をしてあげられるか」を考えましょう。

具体的には、親切丁寧に寄り添うようにして、部下が見えていない視点を伝えてあげましょう。

決して威圧的に接してはいけません。

さすれば、あなたへの部下の忠誠心と信頼感が上がること間違いなし!

ふとした時に部下や後輩からどんな風に見られているのか、という意識を持つのも大切です。

あなたから見ると未熟な部下も、自分なりにしっかりと考えているし、きらりと光るものがあったりします。

あなたが部下から「分かってくれる上司」と思われていれば、部下の長所は活かされることでしょう。

ちなみに部下のことを「使えない」って思ってる人は要注意です。

「部下が使えない」じゃなくて「あなたが部下のことを使えていない」ってことですからね。

たぶん、コペル君が上司なら丁寧に教えてくれるはず。

3−3.他部署〜お前らは何も分かってない、会社で最も重要なのは俺の部署だ!(とお互いが思っている)〜

他部署とは基本的に理解し合えないものです。

なぜなら「会社から与えられているミッションが違うから」

営業は金を稼ぐ。

経理は金を動かす。

製造は製品を作る。

企画はアイデアを考案する。

人事は従業員を管理する。

総務は会社のこと全般に対応。

などなど。

そりゃ混じり合うわけがない。

特に部門長同士が仲が悪いと最悪です。

じゃあ、どうするか?

他部署にとって「譲れないもの」を聞き出して、こちらの「譲れないもの」を伝えて、折り合いがつくところを決める。です。

「あの部署は全然分かってない。ダメだ!」とクダを巻くのは意味がありません。

腹を割って話すと案外スムーズに仕事が進みます。

ちなみに自分が譲れないものをぞんざいに扱われたら怒っていいです。

私は他部署に対してちょいちょいキレてるので、上司に「お〜、やってるねぇ。頑張ってね」とか言われてます。

3−4.お客さん〜お客様は神様だ、しかし全知全能ではない〜

サービス提供者の永遠の課題「お客さんのニーズにどこまで応えるのか」

我々はコペル君から「自分を客観視する」ことを学んでいます。

対お客さんで考えると「『誰の』『どんな』ニーズに『どこまで』応えるか」を明確にしよう、と読み取れます。

つまり、「ちゃんとターゲティングをする」と言うことです。

 

このことをしっかりと捉えていないと2つの悲惨な状況に陥ります。

①ターゲットじゃない人の無理難題に応え続けるジリ貧のレースに入っていく場合

ターゲットじゃない人のニーズに応えようとするとリソース(資源)がそちらに割かれて、本来のお客さんへのサービスレベルが低下します。

例えば、学生向けのWEBサービスを提供する会社だとしたら、もちろんターゲットは「学生」になります。

その会社に70代のおじいちゃんから「ワシでも分かるサービスを提供しろ!」と言ってきたらどう対応すべきでしょうか?

「うちのサービスを使ってもらわなくていいです」と回答して終了、ですよね?

しかし、現実には、ターゲットじゃない(お客さんじゃない)人のニーズに対応している場面が多々見受けられます。

そんなの無意味なのに。

②ターゲットのニーズに応えずに顧客獲得ができずジリ貧のレースに入っていく場合

①のような事態の一方で、ターゲット(見込み客)のためのサービス提供を疎かにして売上が落ちる、というケースもあります。

一度決めたことは変えづらい社風、担当者が面倒くさいと思って何もしない、そもそもターゲットを設定していない、など要因は様々です。

先の例でいくと、学生が「もっと操作しやすい感じがいい」と言っているのを無視する、といった感じですね。

 

この状況が①とコンボになるともう最悪です。

無意味なところに労力をかけて、意味あるところに何もしない・できない、という状況です。

もうそんな会社は潰れるしかないですね。

 

繰り返しますが、ターゲットじゃない人の言うことは聞く必要がないし、ターゲットのニーズにはきっちりと応える必要があります。

特にクレームを言ってくるお客さんが自分のターゲットなのかどうか、をきっちり見極めましょう。

4.まとめ〜冷静に自分を見極められていますか?〜

まとめます。

「君たちはどう生きるか」、最初のエピソードでは「ものの見方a.k.a.物事を捉える時は客観的に」ということが学べます。

 

仕事をしていると目の前にある業務が唯一絶対のものと感じることがあります。

目の前の仕事をやり遂げる、その姿勢は賞賛すべきものです。

しかし、自分だけのことを考えて「上司は分かってくれない」「使えない部下が多くて困る」「お客さんは無茶ばかり言う」という愚痴を連発していては駄目です。

愚痴で気分が良くなって、仕事のパフォーマンスがメキメキと上がるのならいいですが、きっとそうではないでしょう。

愚痴ばかりの無駄な時間を過ごすのではなく、相手が考えていることを正確に捉えてそれに応えるために(あるいは「応える必要はない」と判断して)仕事に取り組みましょう。

・上司の「行動原理」を知る

・あなたは「部下より優れている」ということを理解する

・目の前のお客さんは「本当にお客さんか」を考える

この3つを意識するだけで、これからの仕事がスムーズになっていきますので、ぜひ実践してみてください。

「人間て、叔父さん、ほんとに分子だね。僕、今日、ほんとうにそう思っちゃった。」byコペル君

吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」

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