どうも、職場プレス編集長の石川です。
新入社員を配属してしばらく経つと受入先の担当者から「なんであんな使えない奴を採用したんだ。」「せめてもっとできるようにしてから配属しろよ。」というクレームを言われることがあります。
こちらの苦労も知らないで参っちゃいますよね。というかムカつきますよね。
「そんなこと言われても、どうすればいいんだ?」「そっちで育ててくれよ」と悩みを持つ人事担当者がいるのも事実です。
この記事では、新入社員が早めに戦力になるための具体的な研修方法を解説していきます。
ポイントをおさえて、正しく研修をしていきましょう。
1.必ず研修すべき四大要素
そもそも新入社員研修とは、社会人になりたての新人を会社の戦力にするための土台づくりです。
つまり、配属までに新入社員を「学生」から「社員」にするための教育プログラムです。
使える社員にするためには、どの会社でも組織でも必ず伝えるべき4つの要素があります。
この章では、その1つ1つを解説していきます。
1−1.第一の要素〜会社の方針・事業への理解〜
何はともあれまずは新入社員には会社の方針と事業について理解をさせる必要があります。
特に何を最優先に事業を行っているのかは必ず伝えましょう。
・従業員を大切にしている
・製品を完璧に仕上げる
・お客様のニーズに応えることが何よりも大事、など。
また、なぜそれを最優先にしているかという理由もあわせて伝えるとさらに良いです。
何年も組織にいる先輩社員にとって当然のことでも新人にとっては理解できないこともあります。
これをしっかりと伝えないと仕事に疑問を持ち続けてしまいます。
1−2.第二の要素〜「会社で働く」とは何か?〜
さて、会社の方針や事業を理解できたら、次は「働くとは何か?」ということを教育していきましょう。
大きなテーマですが、要するに「会社で働く」とは「利益を得る」ということです。
社員は会社に「利益」を与えて、会社はその利益の一部を「給与」として社員に渡します。
「お金」を軸とした会社と従業員の関係は、それ以上でも以下でもありません。
もちろん、仕事を通して、やりがいや達成感を得ることを否定している訳ではありません。
むしろ、私自身は達成感はとても重要だと考えています。
しかし、達成感以前に利益を出さなくては、会社を存続することはできません。
ある程度の規模の企業になると、採用のために「社会に役立つ充実感のある仕事」とか「若手社員も重要な仕事を任せてもらえる」などキラキラした内容で学生を惹きつけています。
しかし、会社の業務は基本的に地味で目立たず、大変なものがほとんどですよね。
そのため、新入社員に対しては「利益が最重要」であることを早い段階で伝えていきましょう。
これを怠ると「自分が本当にやりたいことはこれじゃない」という自分探しを始めてしまい、どんどんモチベーションが下がってしまいます。
もちろん、やりがいや達成感を否定する必要はありませんが、充実感なら業務外の活動でも得られますからね。
1−3.第三の要素〜ビジネスマナーの必要性〜
さて、ここまできたら働く上での考え方は伝えられています。
それを踏まえた上で、いよいよスキルについて教育していきましょう。
1−3−1.時間厳守
時間厳守は社会人の基本中の基本ですよね。
しかし、学生(特に授業をサボりながら卒業できた大卒)は時間にルーズな人が一定数います。
時間にルーズだと仕事の能力云々の前にお客さんや取引先との信頼関係を築くことができません。
時間厳守を徹底するために心がけることは次の3つです。
①始業時間にちゃんといる。
出来ればギリギリではなく10分前にいると良いでしょう。
どれくらい前に出社すべきか職場環境によって違うので、先輩社員に聞くことを促しましょう。
②アポイントに遅れない。遅れそうな時は必ず先方に連絡する。
時間を守るのは相手との信頼構築の第一歩です。
しかし、「前の打ち合わせが思ったより伸びた」「道が混んでいた」などで遅れることもあります。
その際は遅れそうなことが分かった時点で必ず連絡をするようにしましょう。
「ギリギリ間に合うかもしれない」という場合も連絡すべきです。
「連絡なしで遅刻」よりも「遅刻連絡があって間に合う」の方がイメージが良いですよね。
③飲み会の次の日は這ってでも出社。
これは私自身が新入社員研修の際に講師に言われたことです。
「飲みニケーションは古い」と言われていますが、そうは言っても社会人に飲み会はつきものです。そして、それが良いコミュニケーションになることも事実です。
私の失敗談を紹介します。
仕事も慣れてそこそこの成果を上げることが出来るようになった入社5年目の時です。
取引先の人との飲み会でお店のサングリアを飲み切るくらい大盛り上がりをして、その酔いに任せてダーツバーに行き、コロナビールを煽りに煽りました。
そんなこんなで深夜に帰宅。
翌日は二日酔いで会社にも連絡をせずに遅刻してしまいました。
出社した時のあのみんなの目、上司の無表情は今でも忘れられません。
ということで、飲み会の次の日は特に気合いを入れて出社するように教え込んでください。
1−3−2.報告・連絡・相談が基本
いわゆるホウレンソウを徹底するように教えましょう。
業務進捗の報告がないと追加の指示が必要か、修正すべき点があるのかなどを上司が状況を把握できなくなります。
また、しっかりと連絡がないと職場内の情報共有が滞ります。
分からないことがある場合、相談をしなければ、指示待ちになってしまい業務が止まってしまいます。
特に近年の新入社員は「叱られたくない」という思いが強いため、ネガティブなことを隠したり、ミスをするくらいならば行動しない、という選択をします。
そのため、職場の業務において些細なことでもホウレンソウが重要で不可欠なものであることを伝えましょう。
ホウレンソウについて知りたい方は下記の記事をご覧ください。
1−3−3.やっぱり身だしなみは大事
「人は見た目が9割」という本がありましたが、まさにその通りです。
「仕事ができれば身だしなみなんて関係がない」という考えもありますが、それが許されるのはズバ抜けて仕事が出来る人だけです。
同じ能力の2人がいたら、身だしなみがきちんとしている人が信頼を得られます。
別におしゃれにする必要はありません。
・Yシャツにアイロンをかける
・靴を磨く
・ネクタイをキリッと首元まで上げる
・ベルトをちゃんとする
・髪型を整える
など誰でも出来る基本的なことで十分です。
身だしなみが整っていれば、少なくともネガティブな印象を与えることはありません。
ファッションで何かを主張したいのであれば、プライベートでやればいいことです。
1−4.第四の要素〜配属先で困らないためのスキル〜
基本的な考え方を伝えたら、配属先の職場で自分で考えて行動出来るスキルを身につけさせましょう。
ここが、「なんであんな奴を採用したんだ!」と「けっこう良い新人が入ったな」の分かれ道です。
1−4−1.「YES」の力と実行力〜最短で経験値を上げさせる〜
バブル世代や体育会系の社員は、上司や先輩からの指示には基本的に「YES!」と答えます。
しかし、近年の新人は仕事に対してやりがいや自分がやる意義を見出そうとします。
それ自体は良いことですが、一方で自分が納得できないことは「渋々やる」という姿勢が目立ちます。
しかし、渋々の状態では行動の質が下がってしまい、成長ができなくなります。
業務の経験を積み「より良いやり方がある」「もっと違ったことに注力した方が効果が高い」などと思いつくことでやりがいや意義が段々と生まれます。
つまり、成長の向こう側にやりがいがあるのです。
逆説的になりますが、最初からやりがいを求めてしまうと「上司の指示に意義が見出せない」という理由から行動をせず、成長できず、その結果としていつまで経ってもやりがいが無い状態に陥ります。
それを避けるためにどんどん行動をして経験を積むことが成長に繋がることを教えてあげましょう。
1−4−2.「仕事の目的」を理解するように促す
指示をされた業務の目的を理解していないと業務をこなすことが目的になってしまいます。
よく言われる手段の目的化、というやつです。
これではせっかくやる仕事がやって満足のやっつけ仕事になってしまいます。
あくまでも「業務」とは目的や目標を達成するための「手段」です。
そして、目的を知るためには「誰」のための「なに」なのかを指示者に聞くことが大切です。
・立ち食い蕎麦屋であれば「時間がないサラリーマンのための60秒以内で提供できる蕎麦」
・事務職の資料づくりであれば「部長に承認をもらうための資料稟議書」
・整体師であれば「腰を痛めた患者さんのためのマッサージ技術」
目的が分かれば、「言われた通りにやりました」という受け身な発言はなくなります。
そのため、仕事の目的を明確にするために指示者に必ず目的を聞くようにさせましょう。
ちなみに一例として私自身は、資料作成を指示された時は必ずどの場面で誰が見る資料なのかを確認しています。
それが分かれば、どこまでの質でどの程度の情報量が必要で、どのような表現をすれば良いのかが決めることが出来るからです。
1−4−3.上司(先輩)はウザいが役に立つ
世の職場にいるほとんどの上司や先輩は、なかなかに鬱陶しい存在です。
研修・教育担当も、新入社員にとってはウザい存在かもしれません。
しかし、それと同時に身近で頼りになる存在でもあります。
「仕事」においては、家族・友達・同期よりも直属の「上司」や「先輩」の方が圧倒的に役に立ちます。
それもそのはず、上司や先輩は「会社(部署や職場)の利益を上げる」という点では利害が完全に一致しているからです。
故意に「こいつを潰してやろう」と考えていない限りは、必ず助け舟を出してくれます。
そのことを新人にきちんと伝えて、配属先で叱られて「なんだよ、ちくしょう」と腐らせないようにしましょう。
2.研修担当者がやるべき配属先との連携は?
さて、新入社員研修を終えたら、いざ配属ですが、その前に研修担当者にはやるべき最後の仕事が残っています。
それは、「配属先との連携」です。
具体的には以下の2つを配属先に伝えましょう。
2−1.新人に行った研修内容を共有
新入社員研修の内容について、配属先の社員は驚くほど理解ができていません。
それもそのはずです。どんな研修を行っているか研修担当者が社内で共有していないからです。
これでは、配属先は「新人ができること・できないこと」を把握ができません。
そんな状況を避けるために配属先に対して、どんな研修を行ったかのかを丁寧に伝えましょう。
そうすれば、配属先の担当者は新人が、現状で何が出来るのかを知ることができます。
例えば、電話のマナー研修をやったかやっていないかでは、配属先が教えることの水準が変わってきます。
特にできないことは明確に「できない」と伝えることで、配属先もそれなりの心構えができます。
2−2.配属先にお願いすることを明確に
新入社員が戦力になるかどうかは「配属先の受け入れ態勢」次第です。
その受け入れ態勢を整えるのも研修担当者の重要な役割です。
多くの職場では、新人に対して「後は頑張ってね」と言い、配属先に履歴書を渡して「こんな感じの人間です」と簡単に伝えるだけです。
これでは、配属先の従業員の教育スキルに頼り過ぎです。
私自身は最初の配属先の上司が教育熱心で、社会人のイロハや会社のルール、営業の手法などを徹底的に教えてもらうことが出来たためその点では恵まれていました。
しかし、多くの後輩や他社の知人を見てきて思ったのが「配属先の受け入れがしっかりしていないと新人はダメになりやすい」ということです。
それを避けるために研修担当のあなたが、配属先に望むことを明確に伝えることが重要です。
具体的には
・新人に◯◯という研修を行ったため、こんな行動をすると思うので理解して欲しい
・新人の質問には明確に答えて欲しい
・こんな感じの人間で、強みを伸ばして、弱みを補って欲しい
などなど。
これを伝えておけば、配属先のその後の行動をあなたが望む方向に誘導することができます。
3.まとめ〜「土台づくり」が研修のゴール〜
まとめます。
・新入社員研修は新人を「学生」から「社員」にするための教育プログラムであり、四つの要素がある。
1.会社の方針の理解
2.働くとは「会社に利益を与えること」
3.ビジネスマナーはすごい大事
4.配属先で困らないためには「YES!」と「目的の理解」と「上司や先輩」が大事。
・配属先と連携をとる。
以上のポイントをおさえれば、土台づくりはOKです。
新入社員研修は、新人を学生気分から社会人にするための重要な期間です。
基礎さえできれば、それを活かせるかどうかは新入社員本人と配属先の腕とやる気次第です。
研修担当者であるあなた、新入社員、配属先、みんなにとって良い研修を行ってください。
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