【上司必見】「やる気がない部下」への対処法(後編)

どうもこんにちは、職場プレス編集長/モチベーターの石川です。

「やる気がない部下・後輩」に困ってますよね?

前編では「やる気がない部下」が考えていることについてお伝えしました。

さらっとおさらいをすると、

・やる気がない部下は、人間関係、業務内容、会社そのものが嫌だと感じている

・言うことを聞かない部下は、評価をされていない、上司を舐めている、上司の自己保身を感じている、やらされ感がすごい

・やる気がない部下は、上司の言行一致を求めている、上司にもっと働けと思っている、でも正しく指導してほしいし、守ってもほしい

・部下には、なぜ型、可否型、意思型の3タイプがある

ということでした。詳しくは前編をご覧ください。

今回の後編では、部下・後輩への実践的な接し方について解説します。

やる気がない部下のモチベーションが、自発的に上がっていく方法を習得しましょう。

1.「指示された仕事は絶対にやる」という前提

上司や先輩からると「正気か?」と思いたくなる事実があります。

それは、

部下は「楽しい仕事以外はやりたくない」と考えている、ということです。

実際に「楽しくない仕事をやらない」という部下・後輩というものが増えています。

そして、ここからが問題ですが、「パワハラを恐れて、仕事をやるかやらないかを部下に決めさせる上司」というものが増えてきました。

これ、絶対ダメです。

自分の仕事に全て責任を持てる個人事業主や経営者ならばそれでいいのですが、「従業員」は業務をやることの対価として給料を得ています。

仕事をしない、という選択はあり得ないのです。ここをしっかりおさえないと「自分が本当にやりたいことはコレジャナイ」とか言い出します。

ですから、言い方には気をつけながら、下記のことをきちんと伝えましょう。

・やりたくない仕事があるのは承知している。

・仕事にやりがいを求めるのも尊重する。

・けれども従業員として働く以上は、やりたくない・嫌いな仕事もやる必要があるから、やるかやらないかの判断の権利はない

これだけだとやる気が下がるので「とはいえ、上司である自分は、やりがいを持って仕事をできる環境を作っていく」と付け加えましょう。

2.信頼関係を築く

「仕事は絶対にやる」という前提を部下とすり合わせつつ、部下と信頼関係を作っていきましょう。

上司と部下は、「仕事での上下関係」です。

これを「部下に対しては何を言っても大丈夫」と勘違いしていると、部下はソッポを向いてしまいます。

あくまでも人間としては対等であり、お互いに尊重し合える信頼関係が必要となります。

2−1.傾聴することが大事

信頼関係の基本は「聞く」ことから始まります。

部下は「上司の言うこと」の言うことを聞く姿勢ができています。

業務では、上司が自分よりも上の立場にいるため、「言うことを聞く必要がある」と考えているためです。

一方で、上司は指示を出す側なので「部下の言うこと」を軽視しがちです。

多くの上司が「聞かない」というのが基本姿勢なので、部下のいうことに耳を傾けるだけで「あの上司は分かってくれる」というポジティブな感情を持つようになります。

ここでの「聞く」とは、「主張や意見を全て受け入れる」ということではありません。

あくまでも「言っていることに理解を示してあげる」という意味です。

理解した上で、仕事がうまくいくための指示や助言をしてあげましょう。

また、部下の主張が的外れな場合は、理解を示しつつ、きっぱりとNOを伝えましょう。

部下だって、何も全ての主張が通るとは思っていませんし、仮に思っていたとしたら、その考えを改めさせるのも上司の役割ですから。

2−2.部下の上限を決めない

あなたの部下は、有能ですか?無能ですか?あなたの期待に応えていますか?

もし、無能と感じられるようなら「良いところ」を探してみましょう。

無能に見える部下でも、業務を変えたり、指示の出し方を変えるだけで、働きが良くなることは、よくあります。

あなたが、部下を思い通りに動かそうと価値観を押し付けたり、圧力をかけることで、部下が萎縮して、やる気が無くなり、パフォーマンスが低下している可能性は大いにあります。

そのため、「あいつはダメなやつだ」とレッテルを貼り、「大したことない。使えない。」と部下の上限を決めないことをお勧めします。

人間は、適材適所なので、たまたまパフォーマンスが発揮されていないだけかもしれませんよ。

しっかりと見てあげてください。

2−3.感情的にならない

部下に対して厳しく接し過ぎると、彼らは萎縮してしまい、上司と話すだけでもストレスを感じる、という風になります。

そのため、「感情的にならない」、つまり「怒らない」ように気をつけましょう。

部下がミスした時に「行為を指摘して、改善点を伝える=叱る」べきですが、「不快・不満の感情をぶつける=怒る」のは絶対NGです。

叱ると怒るを併せてやっている場合が厄介です。

上司は叱っているつもりでも、部下は怒られていると感じることがあります。

「怒れられた」と感じた部下に、あなたの意見が耳に入っていきません。

ただ、ひたすらに「あ〜、また始まったよ。早く終わらないかなぁ」と思いながら、「はい。はい。」と繰り返すだけになります。

そのため、怒りたくなったら、深呼吸をして、あくまでも冷静に「行為を指摘」してあげましょう。

ネチネチと責めるのはもっての外ですからね。

3.「期待しているよ」の一言が大切

人は誰でも「自分が重要な人物である」と思いたいものです。

あなたから見ると、未熟な部下であっても、部下自身は「自分は職場において重要な存在である」と考えています。

期待感をもって接してあげることで、部下自身のやる気が上がるようになります。

ピグマリオン効果(他者から期待されることで成果が上がる現象)も期待できますしね。

ただ、無条件に部下のことを認めてあげる必要はありませんので、ご安心ください。

3−1.部下に対して期待していることを伝える

会社は、従業員に対して成果を出すことを期待して、雇用をしています。

期待される成果は部署や役職によって違います。

そのため、部下に適した業務指示を与えることが、上司の仕事の一つです。

配属された部下に対して、期待する役割や業務の目的を伝えないまま、何となく指示を出していると、部下が「この仕事に何の意味があるんだ」などと迷い始めてしまいます。

「自分がなぜその職場にいるのか分からない」という状態の部下は、やる気を失っていきます。

ちなみに、実際にあった例ですが、上司から「専門知識をもった人間を希望したのに君なんかが配属されてしまった」と言われて、すっかりやる気を無くしてしまい、仕事の意義やモチベーションにすごく悩まれた方がいらっしゃいました。

そこまでではないものの、部下に期待感を伝えないと、知らず知らずのうちに業務に対する熱意を失っている可能性があります。

そのような状況を避けるためには、部下に対して直接、期待する業務の成果をはっきりと伝えてあげましょう。

「自分がやるべきこと」がはっきりと分かることで、部下から迷いが消えて、やる気を持って仕事をするようになります。

ちなみに、これは信頼関係があることが前提になります。

関係性ができていないのに、期待を伝えても「上司が、また変なことを言い出した」くらいにしか思われませんのでご注意ください。

3−2.こまめに評価を適切に行う

そして、役割や期待を伝えたら、部下の業務態度や成果にどのような評価をしているか、こまめに伝えてあげましょう。

よくある悪いパターンが、年に1回の昇給や賞与・ボーナスでの面談時にふわふわした評価を、事務的に伝えることです。

期待する成果を適切に伝えないのに「後出しジャンケン的にダメ出しをする」というのは部下からすると嫌なものです。

もちろん、部下自身の働きが悪いからではあるのですが、良かれと思って数ヶ月、あるいは1年やってきたものが「やって欲しいことはそれじゃない」と言われてもすんなり受け入れることはできません。

そして、しばらくの間、部下はモヤモヤとした状態で仕事をすることになります。

そこから奮起して頑張り出す部下もいるでしょうが、多くの場合は、やる気を下げて能力を発揮できない状態が続きます。

そのような事態を避けるためには、一つひとつの業務に対して評価をしてあげましょう

評価のポイントは、下記の通りです。

・業務の目標と成果のギャップの要因分析

・そのギャップを埋めるための改善策

・期待以上の場合は素直に褒める

これにより、部下は自分の現状を知ることで、自分が向かう先が分かるため、やる気が上がりやすくなります。

4.業務のゴールと手順を見える化しよう

人は、自分がどんな状況にいるかが分からなくなると、途端に行動ができなくなります。

やる気が無くなる、というよりも「行動して間違えるのが怖い」という本能が働くんですね。

まあ、その本能が人間を守ってきたとも言えますが、仕事においては「怖いからやりません」は通用しません。

では、どのように部下に接するべきかというと「業務のゴール」と「業務の手順」を見える化してあげましょう。

目的地とそこまでの行き方を伝えて、旅をしなさい、というイメージです。

4−1.「目的」と「目標=完了した時に望ましい状態」を決める

仕事には、目的があり、その目的を達成するために目標があります。

これを曖昧にしたまま、部下に仕事を任せると、部下は必ずサボります。

そのため、部下には、どのような業務を、何のために、いつまでに、どのような状態にする必要があるか、をはっきりと伝えましょう。

「資料作成」を例にすると、

目的=役員会で事業承認を得る

目標=○月×日の10:00までに事業の企画書を作成し、10部準備する

これを「資料作っといて」とだけ指示をすると、期限が間に合わなかったり、部数が足りなかったり、企画書の体裁ではない資料が出てきたりして、目的を果たせなくなってしまいます。

「営業」を例にすると、

目的=会社の収入を確保する

目標=5月の売上を100万円にする

売上が100万円に達しなければ、目的は果たせません。

これを「営業行って来い」とだけ指示をすると、営業回りと称して営業車でのドライブを楽しむだけになって、売上を立てることができません。

そのような状況を避けるためには、業務の目的と完了した時に望ましい状態を伝えましょう。

難しいことはありません。

どのような業務を、何のために、いつまでに、どのような状態にする必要があるか、を伝えるだけです。

4−2.ToDoリストを作る

次に重要なのがToDoリストを作ることです。「こうすれば完了」という状態が分かれば、やるべきことを逆算できます。

ゴールに向かって、必要なタスクを洗い出させましょう。

「いつまでに」「何をやるのか」を見える化するのです。

例えば、資料づくりであれば、

・方向性を上司とすり合わせる 1日目

・必要なデータを集める 1日目

・資料のたたき台を作る 2日目

・上司と確認する 2日目

・上司との確認を元に修正する 3日目

・再度、上司に確認する 4日目

・完成したものを提出する 5日目

という流れになります。

このようなToDoリストを部下自身に作らせるのです。

部下自身が、自分の仕事の進め方を、自分の頭で考えることが重要です。

これがないと、仕事をしてるように見えるけれど、成果物は出来てこない、という状態が起きます。

そのため、ToDoリストは必ず作らせるようにしましょう。

ちなみに、ToDoリストを作る時は、精密なものを作らせる必要はありません。

部下が行動できるものであれば十分です。

5.まとめ〜山本五十六の名言〜

今回は、やる気がない部下への具体的な接し方をお伝えしました。

・信頼関係を「傾聴」「上限を決めない」「感情的にならない」で築く

・部下に対して期待していることを伝え、こまめに評価を行う

・業務の「目的」「目標」を伝え、ToDoリストを作らせる

これができれば、部下のモチベーションが下がりっぱなしで使えない奴になる、ということが激減します。

 

山本五十六は言いました。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」

これ、続きがありまして。

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」

「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

要するに「丁寧に接しましょう」ということです。

部下はあくまでも業務上、下の立場なだけで、人間としては対等です。

あなたのチームの成果を上げるために、部下を雑に扱うのではなく、きちんと接してやる気が上がるようにしましょう。

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