部下育成で後輩に仕事を任せられる8つの指導方法

こんにちは、職場プレス編集長のイシカワです。

会社での所属年数が長くなると部下や後輩の指導・育成をする機会が増えていきます。

しかし、機会が増えれば増えるほど、ゆとり世代やさとり世代と言われる部下の扱いがいまいちよく分からなくなる。

一人前に育ってほしくて、あえて叱っているのに部下はすねるだけ。

自由に仕事をしてほしいと黙っていたら怠け放題のどうしようもない部下になっていた。

「俺が若い頃は。。。」なんて言い出したらしらけた顔をする。

良いバランスが思い浮かばずにいい加減に育てていませんか?

 

しかし、部下や後輩の指導・育成はあなたがワンランク上のステージに登るためのこれ以上ないほどの良い機会です。

この機会を面倒くさがらずに活かすことができれば必ずや収入とスキルはUPします。

この記事ではそもそもなぜ部下育成が必要なのかをお伝えし、それを踏まえた上で実践的な指導方法を紹介します。

 

 

部下育成の肝を抑えて「あの人は教えるのがうまい!」「あの人の部下になりたい!」と言われるような環境を作っていきましょう。

 

1.部下育成の目的

「そもそも部下育成は何のためなのか」ということを考えたことはありますか?

「使えない新人が入ってきた」「もう5年目なのに全く仕事ができない」「なんで俺が部下を指導しなきゃなんねぇんだ」と嘆く前に部下育成の目的を考える必要があります。

この章では、部下育成のそもそもの目的についてお伝えしていきます。

 

1−1.あなたの給料には「部下育成ご苦労さま料」が含まれている〜仕事しよう〜

さっそく結論ですが、あなたの部署に直属の部下または後輩がいる場合、彼らの指導・教育はあなたの義務です。

会社組織の知識やノウハウ・スキルは、人から人に伝承していくことを前提としています。

その目的を達成するための手段として、「部下育成」はあります。

つまり、上位職や先輩であるあなたがこれまで蓄えてきたスキルや考え方を次の世代に伝えることは会社員にとって必須の仕事となります。

昇進・昇格・定期昇給・ベースアップなどで給料が上がるのは、あなた自身のスキルアップへの評価とともに部下育成への期待でもあります。

そのため、「部下が全然言うことを聞かない」とボヤいている時間を、部下指導とはなんたるかを学ぶ時間に変えて、きっちり指導ができるようになりましょう。

つまり「仕事をしましょう」ということです。

 

1−2.部下を育成すると上司の仕事がどんどん楽になる

いくら「部下育成が義務だ」と言われても正直なところ、覚えが悪かったり素直じゃない部下を教育するのは気乗りしないと思います。

しかし、そんな気持ちをグッと抑えて根気よく指導をしていくとあなた自身がだんだん楽になっていきます。

 

まず、部下指導をしないデメリットとして「いつまで経っても現場レベルの業務があなたの手を離れていかない」ということがあります。

部下指導をせずに常に部下の業務の判断や組み立てをあなたが行えば、短期的にみると業務進捗は圧倒的に早くなります。

しかしその反面で部下自身の判断する力や業務を組み立てる力が養われません。

限られた業務時間の中で、あなたはいつまでも同じ仕事をやらなくてはならず、新しい業務に挑戦する機会を失うことになります。

その結果、あなたのスキルアップは止まり、キャリアアップも止まり、待てど暮らせど給料が上がらないサイクルに突入していきます。

 

さて、ではあなたが部下指導を丁寧に行うと何が起きるかを考えていきましょう。

①部下指導スキルがつく

部下がきちんと育つために指導するにはあなた自身が「部下指導」の知識を身につけることが必要になります。

そして、知識をつけたら実践をします。トライ&エラーを繰り返すことで「スキル」として磨かれていきます。

実践を伴って身につけたスキルは一生使 うことができるため、今後の部下指導で使い続けることができます。

「部下指導スキル」は、どこに行っても使えるし、誰もが欲しがるスキルです。

 

②部下のモチベーションが劇的に上がる

「丁寧な指導」を意識すると自然に部下の立場を考えるようになります。

そのため、部下からは「分かってくれる上司」として認識され、あなたがびっくりするほど慕われるようになります。

そりゃそうです、「厳しく自己中心的な上司」よりも、「自分のことを可愛がって、きちんと指導してくれる上司」なら後者の方が愛されるに決まっています。

そんな部下は、「よし、しっかり仕事するぞ!」とモチベーションも上がります。

 

③部下が仕事ができるようになる、そしてあなたの時間が空く

きちんとした指導論に沿って部下指導を行うことで、部下のモチベーションが上がるとどうなるでしょうか。

答えは、「仕事ができる部下が育つ」です。

部下が育つとこれまであなたがやっていた仕事を部下が担ってくれるようになります。

しかも、部下のアイデアが盛り込まれるとあなたがやっていたクオリティを超えることがあります。

そんな風にして仕事を移譲するとあなたの時間がびっくりするほど空きます。

その時間を使ってワンランク上の仕事に臨むこともできるし、早く帰って家族サービスをすることもできます。

 

部下が育つとあなたは楽になり、収入が上がるきっかけにもなります。

 

2.あなたのおかげで成長できました!と感謝される指導論

ここまでは、部下育成は「あなたのために必要である」ということをお伝えしてきました。

それを踏まえた上で、ここからは部下が喜び、あなたが楽になり、次のステージに進むための具体的な方法を紹介します。

 

2−1.信頼関係を築く〜ディスらない、傾聴する〜

自分で考えて行動する新人が育つ!最良の教育プログラムでも書きましたが、信頼関係を築こうとしてむやみに部下を茶化したり、いじったりするのは、信頼を失う行動です。

確かに信頼関係がある中で、茶化しあったりすると会話が面白くなり、周りの雰囲気がよくなります。

しかし、それは「信頼関係→ふざけ合い」という構図がそうさせるためであり、ふざけ合いから信頼関係が育つことはありません。

例えば、外見がひ弱そうな配属初日の部下に対して、「お前、ひょろひょろしてるな。メシを食え、メシを。」と言ったら、部下はムッとするか、萎縮してしまいます。

部下をそんな感情にさせると言うことを聞かなくなるか、萎縮して自由な言動が取れなくなります。

まずは、部下が何を考えているのかを否定せずにじっくりと聞くようにしましょう。

むやみにいじらず、部下の言葉に対して丁寧に耳を傾けることが、信頼関係を築く唯一の道です。

 

2−2.その業務の目的地を伝える〜いわゆるビジョンの共有〜

ちゃんと指示したのに全然違うことをやっている部下はいますか?

耳の痛い話ですが、それは上司であるあなたが原因です。

例えば「スケジュールを作って報告して」と指示を出す場合、どの様なものを想像するでしょうか?

一ヶ月のざっくりしたもの。

半月の日ごとのタスクが記されたもの。

1週間の時間別の詳細なもの。

1日の細かいタスクリストつきのもの。

「スケジュール」という一言でもこれだけの解釈があります。

 

部下に対しては自分が考える成果物をしっかりと伝えるようにしましょう。

その時のポイントは、目的(Why)・やること(What)・期限(When)をきちんと伝えることです。

スケジュールを例にすると「自分の業務を見える化するために(Why)、2週間分の日ごとのタスクを(What)金曜日の17時までに(When)作って報告してほしい。」と指示を出します。

こうすることで、部下は「どうしてこんな事やらなきゃいけないんだ」「とりあえず適当にやっとけ」と思うことが減り、あなたが考えたものに近いスケジュールを作ってきます。

この時はやり方(How)については、細かく指示せず部下の裁量に任せるようにしましょう。

やり方を自由にすることで部下のパフォーマンスが上がります。

 

2−3.100%を求めない

部下の仕事は、自分がやるよりも粗い仕上がりになることが多いですよね。

無駄なことはやるし、順序はばらばら、必要なこともポロポロ落とす。

できた資料はなんとか形を保っている感じ。

修正を加えると赤ペン先生も真っ青の添削っぷり。

で、指導と思って口頭で伝え始めるとてんこ盛りで収拾がつかなくなる。

 

ここで、2つ質問です。

質問① 部下の仕事は、及第点ですか?落第点ですか?

もし、及第点ならば、改善すべき点を3つ以内にまとめて伝えましょう。

落第点ならば、及第点になるための最低の改善すべき要点のみを伝えましょう。

それ以上を伝えようとすると逆効果になり、全てが伝わらなくなります。

一度に伝えるのではなく、長期戦と腹をくくりましょう。

あなたの上司としての器が試されます。

 

質問② あなたの日々の業務は自己採点で何点ですか?

「全ての業務が100点」と言い切れなければ部下に100点を求めるのは、適切ではありません。

あなた自身ができていないことを部下に求めるのは不要なストレスを与え、あなたもストレスを受けます。

しかも、業務においては仕事をしている人よりも周りで見ている人の方が全体を冷静に見ることができます。

特にあなたが上司で、部下の仕事を見る場合は、あなたの考えが圧倒的に優れています。

しかし、部下にあなたがやるのと同じ水準を求めると仕事が進まなくなります。

部下の60点の仕事を100点にする時間があるならば、もう1つ60点の仕事をさせた方がスピードが早く、会社の利益につながります。

100点を求めそうになったらグッとこらえてください。

 

「そもそも自分自身の考えは間違っているかもしれない」と思うと気が楽になり、部下に任せたくなるものです。

 

2−4.答えを教えるのではなく、答えの出し方に気づいてもらう

部下から質問や相談を受けた時、直接的な答えを教えていませんか?

もちろん知識だけの簡単な質問には答えを教える必要があります。

しかし、部下自身が考えれば答えが出ることについては、「答えそのもの」を伝えるのではなく、「どうしたいのか」と「どうすればできそうか」を考えてもらいましょう。

その上で、「どんな考え方・やり方をすればより良いか」を教えるようにしましょう。

短期的な視点では、答えを教える方が早く仕事が進みますが、それでは部下の思考力や判断力が育たずに、あなた自身がいつまで経っても楽になりません。

今、苦労をすれば、将来に向かうほど楽になっていきます。

じっくりと仕事の方程式を教えていきましょう。

 

2−5.繰り返す、とにかく、しつこく

ちゃんと言ったのに全く言うことを聞いていない部下はいますか?

部下に悪気があるんじゃないんです。

あなたの伝え方が悪いわけでもないんです。

 

あなたの言うことが、「すべて重要」と考えないため、部下自身が「重要」と判断したものだけを取り組むようにしているのです。

しかも、部下が何を重要視しているかは、部下自身も明確に線引きできておらず、その日の感覚によって決まることもしばしばです。

そのため、あなたが重要だと思っている考え方・やり方、部下に完遂してもらいたい業務などは、いくら部下が忘れていたとしても怒らず、粘り強く、とにかくしつこく繰り返し繰り返し伝えるようにしてください。

そうすることで部下ははじめて、「こんなに言ってくるなら重要なことなんだろうな」となんとな〜く感じるようになります。

この部分についてはとにかく根気強く取り組みましょう。

 

2−6.当たり前だけど感情的にならない

負の感情をもって人に接すると悪いことしか起こりません。

部下と接する時は特にこの辺りが雑になりがちです。

部下は「何を言ってもいい相手」ではありません。

あなた自身が上司にやられて嫌なことを思い出してください。

「なぜこんなこともできないのか!」

「全然ダメだ!やり直せ!」

「この給料泥棒!」

「バカヤロウ!」

「ちゃんと考えてんのか!」

気分が悪くなることはあれ、やる気がみなぎることはありませんよね。

負の感情が、湧いた時には深呼吸しましょう。

 

2−7.絶対不可侵の領域は部下がドン引きするほど怒る

とはいえ、業務において絶対不可侵な領域は必ずあります。

銀行であれば、現金差異。

コールセンターであれば、顧客の個人情報。

運送業であれば、無事故。

もし、部下が不可侵領域をないがしろにする行動をとったら即座に相手がドン引きするくらい怒りましょう。

その時のテーマは「ダメなものはダメ」

ここでは感情的であっても問題ありません。

ロジカルよりも感覚的に「マズイ!」と思ってもらうことが重要です。

「なぜダメなのか」という理由は後から説明すれば良いです。

 

2−8.最終的な責任は上司が全部背負う

さあ、ここまで指導してきたら、最後は心構えです。

部下がとんでもないミスをしでかしたらどうしますか?

部下に責任を負わせますか?

それでももちろんオッケーです。

徹底的に保身に走りましょう。

 

で、質問です。

それってかっこいいでしょうか。

もし、NOならば責任はあなたが負いましょう。

間違いなく部下のあなたへの忠誠心は高まります。

そして、ミスはしまいと思ってスキルアップしてあなたが楽になります。

全責任を負う覚悟をしましょう。

 

まとめ

ここまで、色々お伝えしましたが、一貫して気に留めていただきたいのですが、これは「部下のためのもの」という以上に「あなたが楽になるための方法」です。

感情的に受け入れられないこともあるかと思いますが、将来的な楽、を手に入れるためにぜひとも実践してみてください。

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