残業が制限される!?『働き方改革』との上手な付き合い方とは?

どうも、職場プレス編集長/モチベーターの石川です。

世間では「働き方改革」が叫ばれるようになりましたが、あなたの職場ではどんな様子でしょうか?

・大きな企業だから「残業をしない」「有給を取る」などの推進がされている(から嬉しい)

・中小企業だからあまり関係ない(と思っている)

・業界的にブラックな働き方がまかり通っている(のでうんざりしている)

状況は会社や業種業態によって色々だと思います。

働き方改革は「会社が対応するから自分には関係ない」と思い込んでいると、能力と給料が下がってしまう危険性も秘めています。

今回は「働き方改革」の概要とこの時代にあった働き方を解説していきます。

1.働き方改革とは?

働き方改革とは、

「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題

(出典:厚生労働省ホームページ

その中で、「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇の確実な取得」「正社員と非正規社員の不合理な待遇差の禁止」など、労働者の待遇改善が行われます。

特にこの記事で取り上げるのが、以下の2点です。

(1)時間外労働(残業時間)の上限を設ける

時間外労働の上限について、「月45時間、年360時間を原則とし、臨時で特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)を限度に設定」

年間720時間上限だと、ざっくり計算して1日あたりの残業時間の上限が約3時間になります。

(2)有給休暇の取得を義務付ける

法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる

2ヶ月に1回は有給で休もう、ということですね。

要するに「働き過ぎないようにしてね」ということです。

そのために法律により企業に対して、時間外労働に上限を設けて、有給休暇の取得を義務付けました。

これに違反した企業は罰金が科せられてしまうんですね。

そのため、まともな企業であれば、会社はあなたに「残業するな、有給を取れ」と言ってきます。

数年前なら「休むな、働け」と言っていたのに信じられない状況の変化です。

しかし、どんなことにもメリットとデメリットがあり、「わーい、休みが増えるー」とはしゃいでいる訳にはいきません。

2.「働き方改革」に騙されるとどうなる?

働き方改革は一見すると、労働者を守る素晴らしい制度です。

しかし、その一方で労働時間に上限が設けられるため、「仕事が生きがい」という人にとっては邪魔な制度ですし、また、デメリットもあります。

2−1.仕事の能力が上がらない

まず、もっとも問題なのは「仕事の能力が上がらない」と言うことです。

「仕事の能力」とは、仕事内容ごとに異なりますが、一言でまとめると「その仕事において必要なスキル」です。

運転手であれば、運転技術。

経理部門であれば、会計の知識。

企画系の仕事でれば、柔軟な発想力。

営業であれば、ニーズ把握と商品提案。

スキルは、仕事を通して培われます。

アメリカのコンサルティング会社のマイケル・ロンバルドとロバート・アイチンガーは「個人の能力開発の70%は実際の業務においてなされる」と提唱しています。

あなた自身もこれまでの経験を振り返ってほしいのですが、「今の自分」を形作っているのは、上司や先輩の教えや研修ではなく、実際の業務の成功や失敗からの学びではないでしょうか。

それもそのはずで、勤務時間中にもっとも時間を費やしているのは、上司からの指示や研修ではなく、実際の業務ですから。

時間をかけるからこそ、その能力が上がるのです。

繰り返しますが、「仕事の能力」は仕事の中でこそ高めることができるものなのです。

しかも、能力は筋肉と同じで、使っていないとドンドンと低下していきます。

そのため、働き方改革によって労働時間が減ると、能力が下がり、仕事の質が下がっていく危険性があります。

2−2.いざという時に頑張れない

仕事には、集中して大量の時間を投入しないとやらないと、どう考えても終わらない、というものがあります。

働き方改革前であれば、残業や休日出勤でなんとかすれば、なんとか乗り切ることが出ました。

そして、その経験が、自信につながり、スキルアップもしてきました。

しかし、労働時間に上限ができて、有給取得が義務化された状況において、仕事をやろうとすると、

(1)サービス残業をしたり、自宅に仕事を持ち帰ってやり切る

(2)そこそこの所で妥協する

の2つしか選択肢がありません。

しかも、(1)では「定時を過ぎたらパソコンが起動しなくなり、オフィスの電気も消えるから仕事ができない」とか「業務のデータは一切持ち出せない」ということがあります。

仕事の質を高めたいけど、時間をかけることができない、というジレンマに陥り、結果的に本来出せるはずのパフォーマンスが発揮できないという状況が頻発します。

これを繰り返すと、仕事の質が「そこそこ」が前提となってしまいます。

そして、いざ高いクオリティの成果物を求められると、その領域の仕事をしたことがなく、やり方が分からない上に長時間働くこともできずに頑張れません。

こうして、求められたものが達成できず、評価が下がり、自信も失ってしまう、という悪循環に突入します。

3.これからの時代、どう働いていくか?

上記のように、働き方改革によってデメリットもあります。それでは、そんな時代にあった働き方とはどのようなものかを考えていきましょう。

3−1.「そこそこでいい」の先に待ち受ける地獄

あなたは、仕事を頑張りたいタイプでしょうか?

それとも「そこそこで良い」と思うタイプでしょうか?

エン・ジャパンのアンケートでは「管理職に興味があるか?」という質問に対して全体の51%が「興味がある」と答えています。

その一方で、49%は「管理職に興味がない」あるいは「どちらとも言えない」と答えています。

その理由が「管理職に向いていないと思う」「プライベートの時間が無くなりそう」「責任を増やしたくない」というもの。

大きく捉えれば、「現状を維持したい」ということでしょう。

その考え方を否定するつもりはありませんが、この考えを貫くためには「自分の能力は上がらなくても良い」「待遇や給料が上がらなくても良い」「周りからないがしろにされても良い」「同期や後輩が先に出世しても良い」という強い覚悟が必要になります。

そもそも、「待遇や給料」は、自分の業務能力に比例して上がっていきます。

そして、「能力」は、今の自分よりもちょっとハードルが高いものに挑戦するからこそ上がっていくものです。

今よりもちょっとハードルが高い仕事は、自分で作っていく必要があり、「現状維持」という思考では取り組むことが出来ません。

つまり、「そこそこで良い」と考えていると、能力が上がらず、待遇も給料も上がりません。

しかも、年齢が上がると周囲から求められるハードルは自動的に上がっていきます。

でも、自分の能力が上がらず、期待に沿えないと、周囲からの失望は大きなものになります。

その一方で、バリバリと仕事をやる同僚や後輩がいると、彼らの待遇はどんどん良くなっていきます。

あなた自身が「現状維持」を望んだとしても、周囲が上昇していくことで、相対的にあなたが下がっていくことになります。

そして、気付いた時にはリストラ候補になっていた、ということになりかねません。

3−2.量こそが質を生む

じゃあどうすればいいのか?

と思うでしょうが、単純な解決方法があります。

それは、

・仕事の成果を最大限にするために常に考えて

・実際に行動する

・しかも費やせる限りの時間を使う

ワークライフバランスのご時世に、時代錯誤なようですが、これが唯一の方法です。

しつこく言いますが、これをやらないと能力は下がり続けます。

どの会社でも「効率化」が叫ばれますが、「効率化」とは、全ての時間・労力・お金などのリソース(資源)を使っている状態において、さらに成果を出すために、注いでいる資源のバランスを変えたり、新たな手立てを打つことを言います。

少なくとも「社員の残業時間を減らすためのもの」ではありません。

ただ、勘違いしてはいけないのが、別に「残業をしまくって、休日出勤もして、休みなく働いて寝不足の状態でも、がむしゃらに働け」と言っているわけではありません。

今の自分ができる限りの全力を振り絞って仕事をしよう、と言いたいんです。

手抜きで、ぬるい仕事をするな、と。

なぜなら、あなたが悩みを抱えてこの記事を読んでいる間にも、死ぬほど仕事をする奴はもりもり仕事をしています。

そして、そんな奴が社内にいたら、その人はもりもり出世して、あなたの待遇は良くなりません。

話を戻すと、「働く人」という立ち位置で考えると、自分の能力・自力を伸ばすことこそが、今後の時代を生き残るために必要なことです。

そして、それを実現するためには、まずは全力で仕事をして能力を上げることです。

具体的には、前述した通り、

・仕事の成果を最大限にするために常に考えて

・実際に行動する

・しかも費やせる限りの時間を使う

能力が上がったその先に、今まで100%の力でやっていたことが60%の力でできるようになり、その結果として出世や給料アップに繋がるのです。

ということで、頑張って働いていきましょう。

3−3.楽観視する

悲観的な話と根性論めいたことを話してきましたが、ここでお伝えしたいのが、

「なるようになる」

ということです。

いくら全力を出しても、目標に達成しないこともあるでしょう。

時には、そもそも全力が出ないこともあるでしょう。

しかし、それでも誰かが死ぬわけでもないし、命を取られるわけでもありません。

質はどうあれ、とにかく全力で頑張って、成果物を出すことを心がけていれば、じわじわとスキルアップをしていきます。

完璧よりも完成させることを目指して、あとの評価や結果は、考え過ぎないように仕事に取り組めば良いんです。

4.全力を出し切った者にのみ与えられるご褒美

ここまで、松岡修造さんばりに熱いことを言ってきましたが、ただ頑張れ、だけだとうんざりするので少し切り口を変えて、全力で取り組むことの素晴らしさをお伝えしていきます。

4−1.達成感と充実感

全力で仕事をすると自分の限界付近での成果を得ることが出来ます。

達成できるかどうか分からない中で、成果を得ると達成感と充実を感じることが出来ます。

充実感や達成感は、手抜きでやった仕事では得られません。

ものすごく楽にクリアできるゲームをやっても面白くないですよね。

人間の脳は、勝つか負けるかギリギリのところで、燃えてしまうように出来ているのです。

ギャンブルにハマる心理と同じことですが、仕事においては成果を出すために役立つものでもあります。

そして、ギャンブルと違って、仕事では自分の力を結果に対して影響させることができるため、充実感を得ることができます。

4−2.圧倒的な自信

エン・ジャパンの調査では、仕事において求めることの第1位は「スキルアップや自分の成長を実感すること」です。

「成長」とは「自分が出来なかったことが出来るようになること」と言えます。

手を抜いた仕事では、自分が出来ないことに挑戦することがないため、成長は出来ません。

その反対に全力を出して仕事をやり切ると、必ず「成果」と「スキルアップ」を得ることができます。

そして、その2つを得ると自ずと「自信」が身につきます。

「自信」があれば、困難な状況に直面しても「あの時にあんなに頑張ったんだから、本気出せばどうにでもなる」と考えることができます。

そして、その境地で仕事に臨めば、焦りなく、高いパフォーマンスを出すことができます。

「本気を出せば何とかなる」という思考は、「本気を出した人」にしか獲得できません。

かく言う私も、入社4年目の時に、倒れるんじゃないかと言うくらい仕事に没頭した時期があり、大きな成果を残した経験を持っています。

あの時の自信は、今でも自分の仕事の力になっています。

5.まとめ〜人生の充実とは〜

「モーレツ社員」「24時間戦えますか?」などのフレーズに代表される「人生を仕事に捧げろ」的な昭和の価値観は、令和の時代には古臭く、否定されることが多くなっています。

しかし、その価値観が日本の成長を支えてきたことは事実です。

その一方で、今の時代は「プライベートの充実」「個人の時間」「ワークライフバランス」という価値観が大切にされています。

それ自体は否定すべきではありませんが、プライベートの充実を「仕事はそこそこでいい」という誤解をする層が増えてきました。

1人あたりのGDPが下がり、人口が減り、国際競争力が下がっているこの時代において、会社から言われた仕事を適当にやって、まあまあいい暮らしは成立しなくなっていきます。

むしろ、どのようにして一人ひとりの労働生産性を上げて、少ない人口でも、国際競争力を高めるかを考えて実践することが急務となっています。

そのためには、「働き方改革」という言葉に踊らされるのではなく、上手に取り入れつつも気を引き締めて働いていくことが重要です。

 

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